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時の経過を刻む「錆」の美しさ

「最初から完成された美しさよりも、長い時間を経て変化する姿に惹かれるんだ」——BARBERケープのデザイナーはそう言う。

KEIKOが昔から魅了されてきたのは“錆”だった。

柵や金具、船のパーツなど、海辺で長年放置され錆びついた金属に出会うと、必ずと言っていいほど足を止めて観察した。

錆
錆
6.2023/Awaji

普通の人にはただの汚れや劣化に見える部分に、彼女は“時間の層”を見ていたのだ。
「自然に朽ちていくものは、目に見えないストーリーを宿しているみたいなんだよね。錆の色や質感、そこに至るまでの過程こそが本当のデザインだと思うんだ。」


Decay Marksには、そんな魅力が投影されている。

新品のときは端正な表情だが、使い込むほど味わいが増す。まるで金属がゆっくり錆びて色づくように、時の深みが刻み込まれている。

100年を超えて残るものづくり

“錆びていく”ということは「劣化している」ということでは決してない。

BarBer & Apparel 中村商店のBARBERケープは、本気で「100年後でも残ってほしい」と願われて作られている。
「長く使えば必ず痛む部分は出てくる。それを‘廃棄’で終わらせたくないんだよね」
多くの安価な製品があふれ、壊れたり飽きたりしたらすぐ買い替える時代。

そんな大量消費に逆行するように、BarBer & Apparel 中村商店のBARBERケープは、愛着を育てるデザインを追求している。


「たとえば10年使って、レザーの色味が渋くなったり、当たりが出たりする。この ‘経年変化’ こそ、錆がもたらすドラマに通じる部分なんだ。

皮革も金属パーツも、適切に手入れすれば、いくらでも息を長く保てる。僕らはそこに価値を置きたい。」

100年後の理容師が手に取って使うことができるロマンを見据えている。

淡路島
6.2023/Awaji

アートと伝統、混ざり合う発想の爆発

この発想は決して「昔ながらのものづくり」に閉じこもるだけではない。

我々は美術館やギャラリーに足を運んでは、現代作家の作品や海外のアートに触れ、“新しい視点”を常に摂取している。

4.2025/Kurashiki


「日本の伝統的な工芸品が、西洋美術と出会うことで突然生まれるイノベーションにずっと魅了されてきた。岡本太郎が『芸術は爆発だ』と言ったように、まったく違うエッセンスが混じり合う瞬間こそ刺激的なんだよね。」

4.2025/Kurashiki


BARBERケープのデザインにも、そのエッセンスが息づいている。日本的な職人技法の細やかさを基盤に置きながら、色彩のアレンジやロゴの配置には、アメリカンバーバーの洗練や欧州インダストリアルの無骨さも感じさせる。結果として、“どこか懐かしいのに今っぽい”という独特な存在感を放つのだ。

「やっぱり世界を見ていると、自分たちの足元にあるものがどれだけ面白いかわかってくる。でも、足元だけに目を落とすと広がりがなくなる。その両方を行き来することで、本当に新しいバランスを掴めるんだ。」

物語を纏うということ

こうしたコンセプトから生まれたBARBERケープは、単なる道具以上の意味をもつ。

職人が一点一点仕上げたレザーは、最初から“錆びている”わけではない。けれど、時が経つほどに、摩耗とメンテナンスを繰り返しながら、色合いも風合いも“自分だけのもの”に育っていく。

錆びた鉄柱や古い街並みを愛でるように、愛用者はその小さな擦れや微妙な色の濃淡を楽しむ。100年後もその姿が残っていれば、それは使い続ける人々の手で物語が重ねられてきた証でもある。

「錆びるモノは汚いと、かつての自分は思っていたかもしれない。けど今は、錆びるからこそ宿るものがあるって信じている。BARBERケープも同じで、長い時を通してしか出せない味があるはずなんだ。」


そのケープを身にまとうということは、単に髪を整えるだけの行為ではなく、一つのストーリーを纏う理容師の高尚な仕事に貢献できることなのだから。