2024s/s collection #6
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CuttingCape #6は江戸時代の名浮世絵師・写楽が描いた浮世絵をモチーフにし日本の伝統芸能にフォーカスした。
写楽とは
寛政6年(1794年)彗星のごとく浮世絵界に登場した写楽は、わずか10ヶ月の期間に、140数点に及ぶ浮世絵を世に送り出し、忽然と姿を消しました。
役者の特長をあまりにもリアルに捉えたことから、「あまりに真を画かんとて…長く世に行われず」(大田南畝著『浮世絵類考』)と良くも悪くも反響を呼んだそうです。
10ヶ月という短期間活動。。当時の人気がなかったということでしょうか? 作品も日本国外に持ち出されることが多かったと聞いています。
時を経て1910年、ドイツの心理学者ユリウス・クルトの著書『SHARAKU』によって、レンブラント、ルーベンスと並ぶ三大肖像画家の一人として写楽を称賛し、これがきっかけで大正時代頃から日本でも評価が高まっていったそうです。
調べれば調べるほどに諸説ありありで謎だらけ。評価も賛否両論。
このように写楽の正体には諸説ありますが、今もなお謎に包まれた浮世絵師ということは間違いなさそうです。
彼の諸説は一旦置いといて、フォーカスした作品をご紹介しましょう。あなたの感性でお付き合い下さい。
写楽の代表する作品は黒い雲母を用いた背景に上半身のみを描いた最初の大首絵28点。
弊社新製品2024s/s #6は大首絵28点の中の
歌舞伎『恋女房染分手綱』の中で竹村定之進を演じる市川鰕蔵を描いた作品にフォーカスしました。
歌舞伎『恋女房染分手綱』とは
「恋女房染分手綱」という芝居は、宝暦元年(1751年)、大阪の竹本座で初演された人形浄瑠璃を同じ年に歌舞伎化し、江戸の中村座で上演して大ヒットしたものだそうです。この浄瑠璃は全十三段ある長編ですが明治以降は簡略化されて、現代の歌舞伎では十段目の「道中双六」と「重の井 子別れ」のニ場だけをを昼の部か夜の部に上演するようになっています。
通称「重の井 子別れ」といい、丹波の国・由留木家の姫君に仕える乳母の重の井が、腰元時代に伊達与作という家臣との間にもうけた男の子と、離れ離れになっていた末に対面するのですが、今は奉公の身の上がゆえに、また別れなければならないという話。
写楽が描いた竹村定之進が登場するのは通称「鐘入り」と言われている五段目。
定之進は由留木家のお抱え能役者で、娘の重の井は腰元 (女中)です。彼女は伊達与作という若い武士と恋に落ちその後子供が生まれますが、このことが由留木家にとって大きなスキャンダルとなります。家の名誉を守るため、定之進は自らの役割を辞し、最後の願いとして能の 「道成寺」の伝授を殿様に願い出ます。
道成寺の能の舞台で、定之進は切腹して娘の命を助けて欲しいと懇願するのです。
殿様は、親心に免じて、重の井を姫君の乳母にすると約束をし、定之進は瀕死の状態のまま、重の井に別れをつげ、籠で送られて去っていくという幕切れです。
この演目は、愛と義務の間の葛藤、親子の絆、そして家族の名誉というテーマを通じて、複雑な人間関係と感情を描いています。
おかわり写楽とデザイン完成に至るまで
特に惹きつけられたのは「恋女房染分手綱」に登場する写楽が描いた竹村定之進の肖像です。
調べていくうちに写楽が描いた定之進は、娘の過失を知り、殿様の前で能を演じ、鐘の中で切腹する決意を固めた時の悲壮な表情だと言われています。
ですがさらに調べていくうちに悲壮な表情だという解釈は戦前の写楽研究者の解釈に過ぎないと考える方の記事を見ました。
なるほど。
切腹を覚悟した悲壮な表情。。確かに。。そんな表情に見えますでしょうか?
そして私にも子供がいるもんですから、夜な夜なこの絵について何度も考える訳です。何年もかけて。
ある日考えながら写楽の絵の上に日本刀の刃のイラストを本製品 #6のデザインのようにボーダー状に重ねてみたりして写楽の竹村定之進に問いかけました。
どんな感情の表情なんだい?と。私は子供にやりたい事は全部やりなさい。やる為にはどうすればハッピーになれるかよく考えなさい。そう教育しているもんですから背筋がゾクゾクするような感覚でハッとしましたね。
するとどうですか?少し笑みをふくんで隙間から世の本質を覗きうかがっているように見えませんか?
自分の役割であった能を全うしながら娘の過失を償う行為が定之進の切腹だったのであれば、定之進はなんと幸せなことか。そう思ってしまうのです。
子の罪を親が償えるわけもないのですから。いや現代でもあるんでしょうかね?上流階級の方々の間では。この世はバカバカしいから面白い。
悲壮な表情としてではなく定之進の魂がいつも何かの隙間から世の中をそして娘を「どうだい、私はやってのける。それでどうなんだい、この瞬間、生きてる今ハッピーなのかい?」と見ている。
写楽が遺したこの作品はそんな調子で私にブッ刺さっていたのでした。長かった。
そんな長くかかった私の解釈をデザインしました。
超絶私的バーバリング発想の成れの果てかつ世界中探してもどこにもないという事だけが唯一誇りの逸品です。
解釈までの長文が皆様にとって必要だったのかは謎なので今更恐縮ですが、整える場がここでしかなかったものですからお許し下さい。
私たちの製品は、単なる床屋の道具ではありません。現代をサバイブする床屋の日常に寄り添い、床屋の顧客に新たな体験をご提供致します。
最後まで読んでいただきありがとうございます。#7は後日書きます。
2024s/s collection 日毎お知らせさせていただきますのでまたNEWSもチェックしに来てください。
あと、よく聞かれるんでこの場を借りて。。
弊社製品を既にお使いのお客様へ。
いつもお世話になっております。首元のレザーパイピングがヨレヨレになってきたら買い替え時のサインです。
弊社製品のレザーはウォッシャブルレザーという防水加工を職人が施したレザーとなっておりますが、やはり経年とともにその防水性はお洗濯する毎になくなってきます。
受注生産が近年の弊社の流れとなっておりますので良ければご計画をたてていただきご検討いただければ幸いです。心をこめてお待ち致しております。
Barber&Apparel 中村商店 2024s/s collection ファイナル幕開けのお知らせでした。
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