一人サロンがダイナミックプライシングを導入する際のポイント
一人サロン(都度払い)でもダイナミックプライシングを導入する際には、まずは 閑散期・繁忙期・超繁忙期の区分と変動幅をシンプルに設定するのがおすすめです。 運用しながら徐々にデータを取り、PDCAを回すことで最適解に近づけます。
1.予約情報の収集
(1) 手動記録(Excel/Googleスプレッドシートなど)
- 表の形式で記録:日時(曜日・時間帯)、施術メニュー、来店人数、客単価などを一覧管理。
- メモ項目の追加:キャンセル理由、問い合わせ内容、予約リードタイム(◯日前予約かなど)。
- ExcelやGoogleスプレッドシートを使えばソート・フィルタ・グラフ化が簡単にでき、データの傾向を把握しやすい。
(2) 予約システム/アプリの活用
- 美容系予約システムの「予約履歴の分析レポート」機能で、来店数・売上・リピート率などを自動集計。
- 曜日・時間帯、顧客属性と紐づけられる分析機能があれば、人気のタイミングが一目で分かる。
- Googleカレンダーなどとの連携で「空き時間」と「埋まった時間」を可視化すると管理がスムーズ。
2.価格変動のデータ収集
(1) 変動価格テストの実施
- 短期間で大きく変動させず、テスト期間を区切る(例:3ヶ月単位など)ことで比較しやすい。
- 閑散期の割引後に来店数がどの程度増えたか、売上がどう変化したかなどを指標に検証。
(2) 予約率と稼働率の算出
- 予約率=(予約が入った施術枠数 ÷ 提供可能な施術枠数) × 100(%)
- 稼働率=(実際に稼働した時間 ÷ 営業時間)
- 閑散期割引で「予約率・稼働率」がどれだけ上昇したかを数字で把握する。
(3) 顧客の反応・満足度
- 価格変更前後の簡易アンケート(LINEや店頭で口頭など)。
- GoogleレビューやSNSのコメント変化を定期的に確認。
3.データを使ったPDCAサイクル
-
Plan(計画)
閑散時期の割引率・繁忙時期の上乗せ率をまず決める(-1,000円 / +1,000円 など)。 -
Do(実行)
最低2~3ヶ月は実際に運用し、予約状況や売上、客単価を記録。 -
Check(検証)
どれだけ集客や売上が変化したか比較。想定外の離反がないか、顧客満足度は変わっていないかチェック。 -
Action(改善)
割引幅や上乗せ額が適切か微調整。顧客の声やデータを総合的に見ながら、価格設定を見直す。
4.具体的なおすすめデータ項目
データ項目 | 収集方法 | 活用ポイント |
---|---|---|
来店日・時間帯 | 予約システム / 手書き | 繁忙・閑散を見極めるための基本指標 |
予約リードタイム | 予約時に記録 (◯日前予約か) | 「いつ予約が入りやすいか」を把握しやすい |
施術メニュー | レジ・カルテ情報 | メニュー別の利用傾向を分析できる |
客単価 | レジ実績 (合計金額) | 価格変動が平均客単価に与える影響を測定 |
キャンセル理由 | 連絡時にヒアリング / メモ | 価格が原因か、それ以外の要因かを判断 |
新規 / リピート種別 | 予約時の顧客登録情報 | 常連が繁忙期を避ける傾向がないか確認 |
SNS・口コミ反応 | GoogleレビューやInstagramのコメント | 値上げ / 割引への顧客の直接的な意見を回収 |
売上合計 | 月次 or 週次集計 | 全体収益の上向き度合いを総合的に把握 |
稼働時間 | 営業時間 - 空き時間 | 施術以外の時間が減り、稼働率向上に寄与しているか確認 |
5.まとめ
ダイナミックプライシングを導入する際は、小さなルール変更から始め、 「データ収集 → 比較・検証 → 改善」を繰り返すことが成功のカギです。
- 最初は変動幅を大きくしすぎず、-1,000円 / +1,000円程度からテストを始める
- 予約数・売上・顧客単価・稼働率を数値化して、定期的にPDCAを回す
- 顧客への事前告知と丁寧なコミュニケーションを忘れずに
こうした地道なデータの積み重ねが、理想的な価格設定と お客様の満足度向上を両立する最短ルートです。ぜひ参考にしてみてください。
Share:
現代に甦る北斎の名作を纏う
バーバーショップのデザイン最前線:二軸分析と最新トレンド